自閉スペクトラムの子どもの養育

自閉スペクトラムの子ども育てる 子育て
自閉スペクトラムの子どもに最適なトップダウンの子育て方法

いわゆる普通の子の養育とは異なります

発達心理学の落とし穴

近年、発達心理学の成長目安を目にすることが多くなってから、いつの間にか「〇〇歳だったらこれができいなければならない。」という強迫観念にしばられるようになってきたようです。実際、母子手帳にある成長の記録にある設問に記入する際、できていないことへの罪悪感や焦りを感じることがあせんか?

大人になるまでに追い付く?

自閉症スペクトラムの人が周りに目を向けて、社会的に行動することに気を配り始めるのは、多くは中学生以降です。

自閉症スペクトラム「10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体」

多くの子ども達は5歳ごろからにこやかに手を振りながら挨拶を交わすようになるなかで、自閉症スペクトラムの子は挨拶に興味をもたず、親から「ちゃんとごあいさつしなさい。」と強要されていることもあると思います。

⇒末男君は、就学前くらいまでは挨拶に興味がなく「挨拶してください。」という私の要望に答えるためだけ?に見知らぬ人にまで挨拶をすることがありました。けれど、知らない人には挨拶をしない。顔をしっている人や、学校関係の人には挨拶をする。または、私と一緒にいるときは、私が挨拶をした人には末男も挨拶をする。というきまりを習慣づけすれば、それ以降きちんと挨拶できるようになりました。

 

成長スタイルの特性を知って見通しをたてる

自閉症スペクトラムの人は、それぞれ特有の発達スタイルがあります。一般の発達スタイルに沿わないからと、無理に押し付けてはいけないようです。筆者は『みにくいアヒルの子』に例え、アヒルの中にいる白鳥の子どもを成長スタイルが違うからといって、無理矢理アヒルの子に合わせてはいけないし、違いにばかり気をとられているのもナンセンスだと言います。

自閉症スペクトラムの発達研究

教えればできること、教えてもできないことを個々において的確に見極められる目を専門家たちが身に着ける。そうすることで、私のような親が見通しをもって自閉症スペクトラムの子を育てる大まかなプランを感じられるようになります。

素因の限界

自閉症スペクトラムの人のすべての領域が、大人になるまでに帳尻があうわけではないそうです。身長があと○○センチ欲しかった人も、その人の素因で結局△△△センチのまま伸びることなく大人になることがあります。

それと同様に、精神機能の様々な領域の発達において個人差は存在します。

中には、成人期までに帳尻があう領域もあります。残念ながら、中には平均的な水準に達することのないまま終わる領域もあるかもしれません。「空気を読む」「微妙な対人関係の調整をする」などが有力候補のようです。

この個人差が存在するからこそ、社会的に不利な少数派の人達は必ず一定数存在します。また、そのような人達に福祉的支援をためらってはならないというのが筆者の考えです。

時間をかければ、繰り返せば習得できるという幻想

発達を専門にしている先生の中にも「どんな人でも時間をかけて、繰りかえし量をこなせばできるようになる」という幻想を抱く先生がいるようです。

それは、自閉症スペクトラムでない人達には有効かもしれませんが、自閉症スペクトラムの人に苦手克服を強いれば、逆効果となりむしろ苦手で嫌いになってしまうことも多いようです。

自閉症スペクトラムの最良な発達支援

成長スタイルの特性を見極め、素因の限界を知ることで自閉スペクトラムの子どもの発達(成長)支援(戦略)がたてられるようになります。

トップダウンの子育て

自閉スペクトラムの子どもは、専門家による成長の到達点を目安にトップダウンの子育てをするべきだ
早ければ早いほど良いトップダウンの子育て

専門家は、どんなに幼い年齢であっても将来その子がどのような状態になる可能性があるか、ある程度の目安を示すことができるそうです。

その可能性に幅がある時は、低い到達点を目安にトップダウンで育児をする。このようなトップダウンの育児論で支援を受けてきた子どもたちが、成人期に最も充実した生活を送れているそうです。

 

わが家の育児を考える

実際わが家では、ボトムアップの子育てをしてきました。

  • 公文(算数・国語)
  • ピアノ
  • 水泳

この3つの習い事は、末男が5歳になる年から始め、どれも現在(もうじき9歳)まで続けています。実際公文を始めた時は、少しでも先に進めたいと思っていました。

  ⇓⇓  時間の経過   ⇓⇓    

今では、公文は中学3年生程度まで履修させたい。水泳はクロールと平泳ぎができるようになってほしい。と、私自身の目標が低くなっているのを自分で感じます。

 

末男の劣等感

私の目標設定が低くなってきているのと同様、以前は「末男も東大に行く!」だとか、「テスト100点とる!」といった目標を掲げていた末男も、最近はそんな目標を口にしなくなりました。

末男自身、自分とまわりの友達・公文での仲間を比較して、自分の進みの遅さに気づいてきていると感じます。

わが家の子育ては実際やみくもに底上げしていました。少しでも上を目指したいというボトムアップの子育てでした。この子育てをしていると、子どもの自尊心が傷つくことが多く成人した後での成長にも影響がでてくるそうです。これは実際子どもの発達に不安を持っている親の典型例ではないでしょうか。このボトムアップの子育てが間違っていることに、少しでも多くの親御さんたちが気づく必要があると感じます。

トップダウンの目標設定

目標の立て方例

ルール順守>協調性・・・他者の気持ちを察することや、空気を読むことが苦手な自閉症スペクトラムの人たちにとって「協調性」や「状況に応じて柔軟に他者に合わせる」ことはとても難しいことです。通常なら協調性とルール順守は両立可能ですが、それが難しい場合はルール順守することを徹底することで、信頼を得ることができます。協調性では、合わせる相手によって反社会的になることもあるからです。

本番に強い>コツコツ型・・・自閉症スペクトラムの人は普段からコツコツ頑張ることが苦手です。非障害自閉症スペクトラムの人に共通する「本番に強い」特性をほめて伸ばすべきです。

相手の話を聞いていれば、姿勢は問わない・・・自閉症スペクトラムの人の中には、姿勢の保持が難しく、いつもどこかに寄りかかっていたり、机に肘をつくなど姿勢の悪い人がいます。ですから「相手の話を聞くこと」と「姿勢をよくする」という2つの事柄を両立できないため、話をよく聞いてほしい時や、学習の時は「聞くこと」を優先するべきです。逆に式典など、行儀作法を重んじる状況は「姿勢を良くする」ことを優先することが大切になります。(この時、話は聞いていなくても良しと考えます。)

自律スキルとソーシャルスキル

「自律」は自分で自分をコントロールできることです。

「自立」は自分一人でできるということです。障害のある人がすべて自分ひとりでできる「自立」を目指すのは、難しいことです。自分の能力の限界をきちんと把握しておくことが大切。

自分でできることは自分でやり、できないことは人に頼むそれが「自律」です。

自分にできることを自信をもって言える「自己肯定感」が身に付くと、できないことに対しては素直に人に頼めるようになるそうです。

自閉スペクトラムのソーシャルスキル

ソーシャルスキルというのは、社会性です。自閉スペクトラムの人に必要なソーシャルスキルは、「ルールの順守」と「他の人に相談できること」この2点です。

日常生活能力

障害のある人に支給される「障害基礎年金」のどの等級が適切かを判断する目安は、日常生活においてどの程度の支援が必要かということです。

  1. 適切な食事
  2. 身辺の清潔保持
  3. 金銭管理と買い物
  4. 通院と服薬
  5. 他人との意思伝達および対人関係
  6. 身辺の安全保持及び危機対応
  7. 社会性

診断書の各項目には、「判断にあたっては、単身で生活するとしたら可能かどうか」という但し書きがつきます。つまり、障害かどうかを判断する基準は、自律スキルとソーシャル・スキルに裏付けられた「日常生活能力」ということになります。それは勉強が苦手な自閉スペクトラムの子どもに勉強をいくら特訓しても、障害の軽減にはつながらないということでもあります。

⇒発達に心配のある子どもを持つ親、脳裏をよぎることといったら・・・・

『自分たち親の死後、この子は自活していけるのか?』

ということではないでしょうか?

その答えがここにあります。お子さんに応じて支援の有無や段階はそれぞれだと思います。けれど、適切な生活能力を養い、必要な支援をしっかりと受けることこそが、私たちの死後末男を支えていくものだと教えられました。

日常生活能力のつけ方

日常生活の中で自分で計画し、試したりする中で現実社会を生きている感覚を身に付けます。大切なことは、やってみて、失敗したら反省する。反省して修正を加えたり、やり直してみたり最後にできてよかったという体験を積んでいくことです。

支援は年齢や発達により異なります

なにかがうまくできない人に対して2通りの支援があります。「特訓する」ことと、「負荷を減らす」こと。子どもに対してどちらの支援が適切かというと年齢に応じて支援が異なることは、自閉スペクトラムの子どもに対しても普通の子どもに対しても同じです。

著者が子供のころから関わってきた自閉症スペクトラムの人たちの経過を観察した経験や、成人期に達した自閉スペクトラムの人の話から、自閉症スペクトラムの人たちが物心つくのは、思春期であると考えられるそうです。

親も先生も自閉症スペクトラムの子どもに対しては、小学校高学年まで特訓をしてはいけない!!

小学校高学年くらいまでさまざまな行動の問題があった人でも、大半の人が思春期以降は驚くほど真面目になるそうです。

⇒実際、ピアノを教えていただいてる先生に、末男のピアノへの向き合い方や先生への態度が悪かった時に詫びると、「末男君タイプの子も結構中学生になると、グンと伸びたり先生の話をとたんに聞いてくれるようになるんだよ。」と、言われたことがあります。先生は経験上知っていたんですね。

 

その周囲に気遣い、真面目になる時期を著者は物心がつくと表現しています。物心がつく時期までに意欲のエネルギーを蓄える時期です。十分に意欲のエネルギーが蓄えられると、物心がついた時試練に直面しても、それを克服していこうという意欲が自然に湧きます。逆に、物心がつくまでに意欲のエネルギーを蓄えられなかった時、試練に対して乗り越える力がたりなくなってしまうそうです。(図下参照)

 

意欲のエネルギー貯蔵必要ラインまでいっぱいに貯めよう!

⇒「はい!それでは、末男君に特訓はしません!!!」

そんなこと、簡単には簡単にはできないのですが・・・。だって、漢字も計算も、文章題も国語の読み取りもかなり独特で個性的な末男君。ここで、勉強をやめさせてしまったら、余計に勉強に対しての劣等感を持ってしまうんじゃないですかね?

ピアノだって、コツコツ毎日積み上げてきたからソルフェージュは覚えたそばから忘れてしまうのですが、弾くのはとっても素敵です。これ、辞めさせるのですか?ピアノを上手に弾くことは末男の中で自信に繋がらないのでしょうか?

水泳、これは本当に酷い。実際5年目になるというのに息つぎをするクロール25mがやっと泳げるようになりました。小学校の目標である、クロール・平泳ぎ25mずつは苦手なスポーツの中でなんとかクリアさせたい目標なんですが・・・・。

 

自閉症スペクトラムのお子さんを育てている家庭では、取り組んでいることって結構あると思うんです。何とか自信をつけさせてあげたい。どれかはアドバンテージになるはずだと。

今回の自閉症スペクトラムの養育では「思春期までは、特訓させるな」というアドバイスでした。「自閉症スペクトラムの養育~実践編」で細かくみていきたいと思います。

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