自閉スペクトラムの末男をよく理解したい

自閉症スペクトラム 教育本
自閉症スペクトラムと分類された末男を理解するために

karelinlestrangeによるPixabayからの画像

末男が自閉スペクトラムに分類されるでしょうと特別支援の先生に言われてから、数カ月。メディアで特集を組んで放送される機会も多いので、私も一般の人並には知識もあります。

今回本多秀夫著『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』という本を読んで、もう少し自閉症について深い知識をつけていけたらと思います。

日ごろは、いったん本を読んでからブログを書くというスタイルですが、こちらの本は私にとって深くて付箋だらけになってしまうので、読み進めながら記録していきたいと思います。

自閉症スペクトラムをより理解することで、末男の日常の困難さやコミュニケーションの向上に役立てられたらいいな。

 

 

自閉症スペクトラムとは

自閉症スペクトラムの特性とは

臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いこと

自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」冒頭部

「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などの仲間の総称だった「広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)」と呼ばれていました。近年は「自閉症スペクトラム障害」と呼ぶことを推奨されています。

著者の本田秀夫氏経歴

精神科医の著者はインターン1年目より自閉症スペクトラムの一種であるアスペルガー症候群の患者と接する機会を持ちました。その後発達障害を専門とする臨床に取り組み約20年間ほど臨床経験を積むことで、発達障害の子どもが成長する過程を観察することができたといいます。

その臨床経験をもって

「自閉症スペクトラム」は人口の10%は存在する

と考えられるようになったそうです。ただし、この「自閉症スペクトラム」は発達障害者と見なす必要のない人たちも含まれています。

本多氏の突出した経験は、幼児期、学童期、思春期、成人期といった分断された問題点だけではなく、幼児期から成人期に至るまで、時間の経過とともにどのように過ごし、悩みが変化していくのか。そして、適切な支援を得るとどのように変化するのかについて、長期的視点に立って観察してきた経験です。

10人に1人が生きづらさを感じる

自閉症傾向にある人は、10人に1人いると言われると、末男のクラスで3人、正男のクラスではクラスに4人いるかもしれない。と、いうことになります。

「自閉症」と聞くと、重度の先天性疾患と考えがちですが、最近は自閉症傾向のある人もふくめて「自閉症スペクトラム」というくくりです。

実際、こだわりの強さとか、パーソナルスペースの違いとか、話の細かさだとか、面白いと感じる点がずれているなんて自分以外の人とはそもそも相違があるのが当たり前です。そのずれ幅が大きいと、自閉症スペクトラムに入り、その他一般90%の感じる普通との違いで生きにくさを感じてしまうことだといいます。

その相違点には、様々な点があります。

自閉症バリエーション

1.臨機応変な対人関係が苦手

 本人が気づいてる場合と、気づいていない場合があるようです。生後1才半ごろから対人行動の特徴が明らかになります。

出生から幼児期

  • 発語の開始が遅れる
  • 発語が増えない
  • 他者にメッセージを伝える意思を伴っていない
  • 誰かの発言・テレビの音をオウム返しにする(エコラリア)
  • 社会的参照(他者の表情を読み取る)の発達が遅い・頻度が少ない
  • 合同注意(指さしをしたり、他社の注目に呼応する)の発達が遅い・頻度が少ない
  • うなずき、首振りなどの意思表示がうまくいかない
  • バイバイの動作の時に、手のひらを自分の方に向けて振る

などが代表的だそうです。

⇒なるほど、末男は顕著に言葉が遅かったことを覚えています。4歳ごろまでまとまった量の文章を言うことも少なかったですし、言っていても意味が分からないことが多かったです。読み聞かせにしても、赤ちゃん用の本は割と好きなのですが、読んでいる内容に理解や共感を示さないことが多かったです。家族という社会の中の末男ですから、家族みんなが末男の言葉の先を読み取り、コミュニケーションがギリギリ成り立っていたような気がします。

幼児期~学童期

  • 孤立しがちで一人を好む
  • 受身で返事はするが、自分から関わらない
  • 相手の反応に無頓着・一方通行
  • 一見人懐こいが、会話がワンパターンで一方的

思春期以降

  • 空気が読めない
  • 場の状況や相手の表情に無頓着
  • うわべは丁寧に感じる言葉遣いでも、その実尊大な感じ
  • 必要以上に細かいデータを盛り込む
  • 会話しているのに微妙に視線はそれている

 

2.「こだわり」が強い

  • 興味や行動範囲が限定的
  • 手順や配置にこだわる
  • 偏った興味を持つ
  • 常同行動がみられる(手のひらをヒラヒラするなど)
  • 好きな領域の機械的記憶に優れている
  • オタクになる(認知が発達し、こだわりも発達する)
  • 「一番病」一番になることに強くこだわる

⇒末男はうれしい時は絶対にピョンピョン跳ねます。座っている時に嬉しいことがあると、脚をブンブン振ります。

こだわり保存の法則 自閉症の個人が持つこだわりは、総量が決まっています。こだわりが盛り上がり、冷めて対象がほかに向けられるのだそうです。

⇒小学校2年の時、末男は特定の女の子の名前をずっと家でも話題にしていました。こだわりが1人の女の子に向ったことから心配しましたが、担任の先生とその女の子のお母さんにはそのことを伝え生活に支障がないかを確認するようにしていました。今はクラスが替わり、特定の女の子の名前は言わなくなりました。ホッ。

このこだわりが社会性のあるこだわりに向き、多岐にわたることで自閉症スペクトラムとしてのこだわりが良い方向に向くように環境の整備が必要と言われています。

3.その他の特徴

  • 感覚異常:特定の音、臭い、味を強く嫌う。一般に比べて特定の感覚刺激への感受性が異常に低い。一般の人に共感されにくいため、この問題を放置されがちで苦痛を感じていることがある。
  • 具体的・明確な情報へ強い志向性:聴覚情報より、視覚情報への志向性が強い。視覚・聴覚・嗅覚などの「感覚モダリティ」のうち1つの感覚モダリティに過集中してしまう。
  • 運動が不器用:そうでない自閉症スペクトラムの人もいますが、多数は運動発達に遅れがみられるようです。
  • 特定の領域に関する記憶力に優れている:記憶力全般ではなく、ごく限られた領域に関する記憶力が一般の人をはるかに凌ぐことが多い。数字・写実画・音楽などに天才的な記憶力を示す「サヴァン症候群」。不快な経験や悲しい体験をいつまでも忘れられず、強い心痛を感じたり、細部を記憶しすぎて物事の優先順位がうまく決められこともあります。   
  • 相対的関係の理解が困難:物事を単独では理解できても、2つ以上の物事との相対的な関係をとらえるのが難しい。大小・長短などの比較概念や上下・左右などの空間関係、前後などの時間関係の理解が難しい。人間関係などはなお理解しがたい。
  • 並存しやすい問題知的障害(知能の発達が遅れ、成人期以降も知的水準が標準より低い状態〈人口の3%〉)、学習障害(知能水準に比べて、「字を読む」「字を書く」「計算する」などの特定のものが苦手な状態)、注意欠如/多動性障害(ADHD)多動《落ち着きなく、いつも身体のどこかを動かしていて静止が難しい》衝動的《深く考えずにすぐ行動してしまう》、不注意《気が散りやすい、うっかりミスや忘れ物が多い》、睡眠異常(寝付けない、夜中に目を覚ます、居眠りをしてしまう)、
  • 発生しやすい二次的な問題いじめ被害不登校、ひきこもり、身体症状、チック、うつ、適応障害、不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、被害関係念慮。

⇒まさしく、末男にあてはまることがいっぱいです。まず、感覚異常では幼い頃保育園で歌を歌うとみんなの声がうるさいといっていました。臭いにも敏感なほうで、まさしく今朝は、鶏肉のトマト煮を作っていたら「アナゴを焼く匂いがするね」と言っていました。そう、言われてみるとアナゴの蒲焼のニオイに似ています。面白くないですか?朝からトマト煮も可笑しいですが、アナゴを焼いてると思う方も可笑しいので、変な親子です。

⇒面白い体験の積み重ねならいいです。悲しい記憶が消えないとしたら、末男はどうやって自分の記憶から嫌なことを浄化したらいいのでしょうか。WISCの検査でも、能力のバラつきについて説明を受けました。自閉傾向が強く、知的障害もある場合気づかないこともあるのですが、末男の場合はバラつきタイプで、理解できるところと実践できないところが共存しているので、自分が馬鹿にされている、嫌われていることは敏感に察知して不登校につながるケースが多いタイプだと言われました。

自閉症スペクトラムは障害と非障害が含まれる

自閉症スペクトラムの構図

医学的類型において 自閉症スペクトラムに分類されても、障害になる場合とならない場合があります。上の図のように自閉症スペクトラムの中に狭義の自閉症スペクトラム障害と呼ばれる、自閉症の傾向が強く福祉的支援の必要なグループと併存群と呼ばれる自閉症スペクトラムとLDやADHDを併存していたり、うつや不安症状を併発してやはり支援が必要なグループがいます。図のaとbとcに属するグループが広義の自閉症スペクトラム障害となります。

「空気が読めない人」世間が生み出す併存群

現代社会の風潮で、多数派からはみ出す人を排除し、差別する傾向が強まっています。対人関係の調整が苦手で、こだわりが強い自閉症スペクトラムの人々は「空気が読めない」というマイナスの評価を受け、差別や排除の対象となりやすく恒常的に心理的ストレスを感じます。そのストレスが、非障害自閉症スペクトラムのグループから併存群を生み出しています。

⇒私も過去に「あの人は空気が読めないよね~」などと、軽口をたたいたことがあったのではないか?と今更ながら自問してみる。けれど、これからは会話での違和感やコミュニケーションに違和感を持ったとしても、差別や排除はもちろん本人が傷つくであろう言動は一切しないと誓います。これも、末男が教えてくれたことなんだよね。

境界線が存在しない理由

自閉症スペクトラムとそうでない状態(いわゆる普通の人)との間も連続的。

自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体

それって、境界線が存在しないってことですよね。

自閉症スペクトラム指数(AQ)

自閉症の認知心理学的研究で有名なサイモン・バロン=コーエンが開発した「自閉症スペクトラム指数」という評価尺度は、50項目の質問に本人が答え、スコアが高いほど自閉症スペクトラムの特徴が強いと考えられています。

考案者のコーエンは、多数の一般人にこの質問をしました。すると、得点はほぼ正規分布(身長の分布のように、平均値をピークとする山型分布)を示しました。これは、「自閉症スペクトラム(+)」と「自閉症スペクトラム(-)」の明確な境界線がないことを意味しています。

言い換えれば、自閉症スペクトラムの特徴が弱ければ、周囲にいる人や置かれている生活環境によってその特徴が目立つ場合もあれば、目立たない場合もあります。

⇒それはつまり、私(くらむぽん)自身が思い当たる節があれば私も自閉症スペクトラムに分類されるわけです。私にはそれを否定する根拠が見当たりません。

自閉症スペクトラムは潜在的に10%いる

2002年に横浜市の教育委員会で行われた調査では、市内の小中学校の普通級に「学習と行動に著しい困難を示す児童・生徒」の割合を調べたところ、6.5%だった。これに特別支援学級や特別支援学校に在籍している児童・生徒も全部合わせると、9.3%という結果。それに付け加え、この調査を担任教師の判断に委ねている点から、担任が特に問題を感じていなければ、この調査では数字に計上されない。一方発達障害の早期発見と早期支援が活発に行われている自治体では、地域の基幹となる療育センターを幼児期(5歳以下)のうちに受診する子どもが、その地域子ども全体の7~8%に達しているところが出てきた。著者が勤務していた病院では、幼児期のうちに受診した子どもたちの大半が自閉症スペクトラムだったという。そしてその大半は知的障害を伴わなかった。

それをふまえて、自閉症スペクトラムの人は人口の10%いると、筆者は語っています。そのうち過半数は成人期には非障害自閉症スペクトラムになる可能性が十分ある人達かもしれません。典型的な自閉症は、この中のごく一部で人口の0.3%程度だと言われています。

自閉症スペクトラムの早期支援の必要性

実際自閉症スペクトラムでありながら、周囲も本人も気づかないまま社会参加できる人たちも、かなりふくまれている可能性があります。けれど、二次的な問題が生じて社会参加を阻まれ、精神科医療を受けることになる人もたくさんいるのかもしれません。

自閉症スペクトラムの図にあるように、自閉症スペクトラムの特徴が弱い人達のうち深刻な二次的問題を併存するかどうか予測が難しい現在、早期発見と早期支援によって少しでも二次的問題の出現を予防することは、意義の高いことです。

⇒私が、支援センターの先生と初めて面談した時、発達障害のことをほとんど理解していませんでした。多くの母親がそうであるように、「先生、末男は将来自分の思うまま自由に自活していくことができるのでしょうか?」という質問をしました。先生はその時おっしゃいました。「3年生になる今、末男君がコミュニケーションを学ぶ機会が持てて、学校や家庭や地域でこの時期から見守ってサポートしていけたら、きっと大丈夫よ。」

自閉症スペクトラムを知る まとめ

私の地域の個人小児科で、「あそこの先生はすぐに療育センターに回したがる。」という噂の先生がいました。私は、末男の成長に不安を覚えつつも、指示の入らなさなどから「発達障害」を宣告されることを恐れて近づかなかったように思います。発達障害を気軽に疑われることに不信感を覚える友人がいたのも事実です。

今回本多秀夫医師が書いた「自閉症スペクトラム」を読んで早期発見によって防ぐことができる二次的な問題の存在を理解することができました。

今後、私のような不勉強な母親を教育するためにも、この本を妊娠中から母親予備軍に広く周知させることが大切だと強く思いました。今は、療育センターを受診することをすすめるこの先生が「自閉症スペクトラム」にも精通しているのだろうと思っています。

 

以前NHKの発達障害特集で、今現在精神医療を受診し様々な病気で苦しんでいる人の多くが発達障害を併せ持っていた事実が明らかになってきたと報道していました。生活には支障がなかった自閉症スペクトラムの人々が社会によって精神的苦痛を強いられているのだとしたら、自閉症スペクトラムの子どもを持つ親や自閉症スペクトラム本人だけでなく社会全体でこの事実を理解する必要性も感じます。

私は末男に環境の面でどれだけ二次的な問題を持たずにいられるか、そして成長を支援する方策をこれからも探していきたいと思います。

自閉症スペクトラム 本田秀夫著
本田秀夫著 自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体

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